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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
天上に星は輝く。魚は池に暮らす。
天の星に魚の気持ちは判らず、魚に星の想いが届くはずもない。
星の光は、どんなことがあっても、池に暮らす魚を照らすことはないのだ。
魚がひと跳ねすれば、満ち満ちた池の水はやがてこの世界を覆い尽くし、地上を海にしてしまうだろう。
そうなれば、天にはもう星はなく、天すらも水浸しになる。
憶えておくが良い。池に住む魚一匹だとて、強いものなのだ。一匹の小さな魚がこの世を海に変え、天の星すらも堕とす力を秘めているのだ。
星よ、驕るなかれ。世界は汝のために存在するのではない、汝の光が遍くすべてを照らすことはないのだ。