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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
「浮くってなんで?」

「……だって、なんだか、都会に圧倒されちゃいそう」

「あはは、東京には何度も遊びにきてるだろ」

「そうだけどさ、遊びと、そこで住むのとはまた違うでしょ」

茜のこういう真面目な所が好きだ。

「人に埋もれちゃいそう」

「すぐに慣れるよ」

「……うん」

「茜、あの……」

「なあに?」

「いや、会ってから話すよ」

「そう、わかった。じゃあ明日、私をちゃんと見つけてね」

「あはは、まかせとけ」

インターネットを使えば、アパート探しや、かかる費用を確認するのは簡単だった。ワンルームなら、契約時に払う金ぐらいはなんとか用意できそうだ。
ただ、今回はもっと大事なことをやらなければならない。俺の今の現状を、ちゃんと茜に話すこと。

そのうえで、これから俺たちがどうなるのか、茜に決めてもらうしかない。
今回の苦い失敗もあったし、もう茜に嘘を付くのは嫌だった。
その度に自分が嫌になった。

悪事を働くと、その何倍ものしっぺ返しが心にも及ぶ。
このままではダメだと思ってやった事が、ますます良くない方向に進んでいく気がする。

「あぁ……」

両手を枕にして寝転がり、天井を見つめた。
何が可笑しいのか、テレビの出演者までが俺を笑ってる。

三段ボックスに手を伸ばし、小さな紙袋の中身を取り出してみる。金色のリボンでおしゃれした包み。茜ならなんでも嬉しがるだろうけど、これは、俺が今までで一番奮発したやつだ。

これが最後のプレゼントにならなきゃいいけど。













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