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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
丁寧にリボンをほどく細い指が、包装紙を開いて箱の蓋を開け、更に中に入っているケースを取り出した。

蓋を押し上げてめでたくご対面。

「わぁ……」

感激した様子で目を輝かせる。

「着けてもいい?」

「手、貸して、俺が着けるよ」

そのブレスレットは、一列に並んだ小さなパールが、中央にいくにつれて少しずつ大きくなり、また小さくなっていくデザインで、茜の手首につけると一段と清楚な印象を醸し出した。

「素敵……」

「よかった、茜にぴったりだ」

「亮ちゃん、ありがとう、なんだか高そうでもったいないな」

手首を返して見とれてる茜。

「それ買う時、超緊張したー」

「目に浮かぶ」

「だろ?」

「ふふっ、ほんとにありがとう、一生大事にします」

茜は、叔父さんが所長を務める税理士事務所の事務員として就職するらしい。新宿の西口にあるらしいことは知ってたけど、まさかお堅い税理士事務所だとは。

なんか、茜は俺の為にここまで来る事になったような気がする。いや、実際そうなんだろう。
俺がこんなに情けない事になってるって知ったら……。

思わずため息が漏れた。

「ねぇ亮ちゃん」

黙ってクリームソーダを飲んでいた茜が顔を上げた。

「ん?」

「私、亮ちゃんちに行きたいな」

「え?」

「だめ?」

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