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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
「二人で少しずつ練習すれば、きっと何とも思わなくなるよ」
「俺、もう平気かも」
「もー、だめだめ、ちょっとずつだよ」
「わかった」
最寄駅で降り、今度は俺が茜の手を引いて歩いた。
「ここって新宿からそんなに離れてないのに、雰囲気が全然違うね」
「うん、まあ、小さい町だけど学生が多いし、結構賑やかだよ」
駅近くの商店街には、飲食店やカフェ、洋品店、古着屋に雑貨といった、女の子が好みそうな店が軒を連ねている。
違う通りには小さな劇場があるし、夜になれば、飲みに来る客でにぎわう通りもある。
「この商店街、歩いてるだけで楽しい」
嬉しそうにそんな事を言う茜は今、俺の職場の前を通り過ぎた。
駅から歩いて15分、閑静な住宅街に入った。
あの、築30年のおんぼろアパートを見て、茜は何を思うだろう。あのパチンコ屋が俺の今の職場だと知ったら、どんなにがっかりするだろう。
車もなくて、借金はあって……。
足が重くなってきた。
「のど乾いたね」
「あ、あのコンビニでなんか買おう。俺のアパートすぐそこだから」
コンビニの入口に停まっていたトラックが、荷卸しを済ませて動き出した。ちょっと立ち止まり、トラックが出ていくのを待った。
「り、亮ちゃん、見てすごい」
茜が耳打ちする。
「ん?……っっ」
入口付近のごみ箱の向こう側に、ユウがいた。
「俺、もう平気かも」
「もー、だめだめ、ちょっとずつだよ」
「わかった」
最寄駅で降り、今度は俺が茜の手を引いて歩いた。
「ここって新宿からそんなに離れてないのに、雰囲気が全然違うね」
「うん、まあ、小さい町だけど学生が多いし、結構賑やかだよ」
駅近くの商店街には、飲食店やカフェ、洋品店、古着屋に雑貨といった、女の子が好みそうな店が軒を連ねている。
違う通りには小さな劇場があるし、夜になれば、飲みに来る客でにぎわう通りもある。
「この商店街、歩いてるだけで楽しい」
嬉しそうにそんな事を言う茜は今、俺の職場の前を通り過ぎた。
駅から歩いて15分、閑静な住宅街に入った。
あの、築30年のおんぼろアパートを見て、茜は何を思うだろう。あのパチンコ屋が俺の今の職場だと知ったら、どんなにがっかりするだろう。
車もなくて、借金はあって……。
足が重くなってきた。
「のど乾いたね」
「あ、あのコンビニでなんか買おう。俺のアパートすぐそこだから」
コンビニの入口に停まっていたトラックが、荷卸しを済ませて動き出した。ちょっと立ち止まり、トラックが出ていくのを待った。
「り、亮ちゃん、見てすごい」
茜が耳打ちする。
「ん?……っっ」
入口付近のごみ箱の向こう側に、ユウがいた。