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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
ひぇっ!
なななんで、なんでなんでなんで……。

あ、悪夢だ。
わ、こ、こっちに気付いた。

茜がまた、俺の手を引いて歩き出す。
さっきの発作より生きた心地がしない。
もう、俯くしかなかった。

「……」

コンビニのドアを引いて中に入ろうとした茜が、何を思ったのか、何を血迷ったのか、俺の手を放してごみ箱の方に3、4歩近寄っていった。

「あのね、女の子のお肌にも、身体にもあんまり良くないみたいだから、タバコやめた方がいいと思うよ。かわいい制服着てるんだし」

え、タバコ?まさか……。
なぜユウがタバコなんか吸ってるんだ。
い、いや、そんな事はこの際どうでもいい。

「う……ゴホッ、ゴホゴホ……」

ユウがせき込み始めた。

「やだ、大丈夫?ごめんなさい、急に話しかけたから」

「い、いいんです、ゴホッゴホッ」

茜はさっき俺にしたように、ユウの背中を擦っている。

ど、どうりゃいいんだ……。
どうなるんだ、ここで全てが終わるのか。

こんな恐怖は初めてだ。悪いことはできない。ちゃんとあとから天罰が下る。

人を欺いて上手く生きてる奴らもごまんといるし、実際に何人も見てきた。

でも俺の人生はそうはいかない。損も得もなくて、ちゃんと辻褄が合うようになってるんだ。
今が正にその時なんだ。
あぁ……。

俺は呆然と信号を見ていた。
歩行者用の青信号は点滅していて、俺の人生は、赤信号が点滅している。

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