この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
「前はもっといい部屋に住んでたんだけど、いろいろあって……」

「うん、でも思ったより散らかってないから安心した」

テーブルを挟んで腰を落ち着けた。

用意したグラス2個に、茜が冷たい緑茶をとぽとぽ注ぐ。一口飲んで、二人同時にふーっと一息ついた。

「亮ちゃん、私になにか、大事な話があるんでしょ? この前の電話で、何か言いたそうにしてた」

ほんの少し首をかしげて俺を正視する。聞く準備はとっくに出来ているみたいだった。

「うん。……じつは俺、いろいろあって体調崩してさ、会社辞めたんだ。再就職もなかなか上手くいかなくて……、今、駅の近くのパチンコ屋でバイトしてて、あ、車も売ったんだ、でもまだ借金が残ってる状態で」

「……知らなかった」

がっかりした様子はなかった。
頷いて次を聞こうとする茜にほっとして、俺は先を続けた。

「こんなボロい部屋しか借りられないし、この生活からは当分抜け出せそうにない、でも俺、茜との約束は……」

「約束?」

「だからその、茜の住むところを俺が準備しておくっていう……」

「そんな約束してないけどな」

「いや、したよ。とにかくそれは、任せてくれて大丈夫だから、心配いらないよ」

俺は余裕の表情で言った。

「亮ちゃん」

「ん?」

その声色に、聞き覚えがあった。

「なんでも勝手に決めてしまわないでよ。仕事の事も引っ越した事も、今の話も」

「茜……」

「私って、そんなに頼りにならない? 相談のひとつもできない相手なの?」

「いや、そうじゃなくて」

そうだ、俺がこっちで就職するかどうか迷った時の、茜の声だ。

「亮ちゃん、私、足手まといになるつもりないよ」

「そ、そんな事思ってないって」


/195ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ