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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
「前はもっといい部屋に住んでたんだけど、いろいろあって……」
「うん、でも思ったより散らかってないから安心した」
テーブルを挟んで腰を落ち着けた。
用意したグラス2個に、茜が冷たい緑茶をとぽとぽ注ぐ。一口飲んで、二人同時にふーっと一息ついた。
「亮ちゃん、私になにか、大事な話があるんでしょ? この前の電話で、何か言いたそうにしてた」
ほんの少し首をかしげて俺を正視する。聞く準備はとっくに出来ているみたいだった。
「うん。……じつは俺、いろいろあって体調崩してさ、会社辞めたんだ。再就職もなかなか上手くいかなくて……、今、駅の近くのパチンコ屋でバイトしてて、あ、車も売ったんだ、でもまだ借金が残ってる状態で」
「……知らなかった」
がっかりした様子はなかった。
頷いて次を聞こうとする茜にほっとして、俺は先を続けた。
「こんなボロい部屋しか借りられないし、この生活からは当分抜け出せそうにない、でも俺、茜との約束は……」
「約束?」
「だからその、茜の住むところを俺が準備しておくっていう……」
「そんな約束してないけどな」
「いや、したよ。とにかくそれは、任せてくれて大丈夫だから、心配いらないよ」
俺は余裕の表情で言った。
「亮ちゃん」
「ん?」
その声色に、聞き覚えがあった。
「なんでも勝手に決めてしまわないでよ。仕事の事も引っ越した事も、今の話も」
「茜……」
「私って、そんなに頼りにならない? 相談のひとつもできない相手なの?」
「いや、そうじゃなくて」
そうだ、俺がこっちで就職するかどうか迷った時の、茜の声だ。
「亮ちゃん、私、足手まといになるつもりないよ」
「そ、そんな事思ってないって」
「うん、でも思ったより散らかってないから安心した」
テーブルを挟んで腰を落ち着けた。
用意したグラス2個に、茜が冷たい緑茶をとぽとぽ注ぐ。一口飲んで、二人同時にふーっと一息ついた。
「亮ちゃん、私になにか、大事な話があるんでしょ? この前の電話で、何か言いたそうにしてた」
ほんの少し首をかしげて俺を正視する。聞く準備はとっくに出来ているみたいだった。
「うん。……じつは俺、いろいろあって体調崩してさ、会社辞めたんだ。再就職もなかなか上手くいかなくて……、今、駅の近くのパチンコ屋でバイトしてて、あ、車も売ったんだ、でもまだ借金が残ってる状態で」
「……知らなかった」
がっかりした様子はなかった。
頷いて次を聞こうとする茜にほっとして、俺は先を続けた。
「こんなボロい部屋しか借りられないし、この生活からは当分抜け出せそうにない、でも俺、茜との約束は……」
「約束?」
「だからその、茜の住むところを俺が準備しておくっていう……」
「そんな約束してないけどな」
「いや、したよ。とにかくそれは、任せてくれて大丈夫だから、心配いらないよ」
俺は余裕の表情で言った。
「亮ちゃん」
「ん?」
その声色に、聞き覚えがあった。
「なんでも勝手に決めてしまわないでよ。仕事の事も引っ越した事も、今の話も」
「茜……」
「私って、そんなに頼りにならない? 相談のひとつもできない相手なの?」
「いや、そうじゃなくて」
そうだ、俺がこっちで就職するかどうか迷った時の、茜の声だ。
「亮ちゃん、私、足手まといになるつもりないよ」
「そ、そんな事思ってないって」