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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
平気だと思っていた。
茜はいつも笑ってたし、友達も多い。おっとりしててもしっかり者だとわかっていたから、だから、少しぐらい離れてても平気だと思ってた。
寂しくて惨めなのは俺一人で、電話口で心配する茜の口ぶりや、甘えて拗ねる様子が時々うっとうしくなって、適当にあしらった事もあった。
勝手だな俺って。
つまらない意地だった。ちっぽけなプライドを捨てられずに、無意味に肩肘張って茜から逃げてた。いつもそこに居たのに。
「茜……」
無性に愛しくなって、ぎゅっと抱き締めた。
「今日、亮ちゃんがここに連れて来てくれなかったら、私、泣きながら帰ったと思う。自信がなくなってたの。いつからかな、なんだか遠くに行っちゃたみたいに感じてたから」
「ごめん。余計な心配させて」
茜のすがるような瞳が、俺を奮い立たせた。
「亮ちゃん、私の事好き?」
「茜……」
「私はちっとも変わらないよ」
「俺は、俺は前よりもっと茜が好きになった」
本当の事を素直に口にする。
「だったら、だったらもっとちゃんと抱いて、今すぐ安心させてよ」
「茜……」
帰省して、俺がこっちに戻る日が近づくと、茜はいつもそう言って俺を欲しがった。たまらなくなってめちゃくちゃに抱いても、俺を拒んだりはしなかった。
茜はいつも笑ってたし、友達も多い。おっとりしててもしっかり者だとわかっていたから、だから、少しぐらい離れてても平気だと思ってた。
寂しくて惨めなのは俺一人で、電話口で心配する茜の口ぶりや、甘えて拗ねる様子が時々うっとうしくなって、適当にあしらった事もあった。
勝手だな俺って。
つまらない意地だった。ちっぽけなプライドを捨てられずに、無意味に肩肘張って茜から逃げてた。いつもそこに居たのに。
「茜……」
無性に愛しくなって、ぎゅっと抱き締めた。
「今日、亮ちゃんがここに連れて来てくれなかったら、私、泣きながら帰ったと思う。自信がなくなってたの。いつからかな、なんだか遠くに行っちゃたみたいに感じてたから」
「ごめん。余計な心配させて」
茜のすがるような瞳が、俺を奮い立たせた。
「亮ちゃん、私の事好き?」
「茜……」
「私はちっとも変わらないよ」
「俺は、俺は前よりもっと茜が好きになった」
本当の事を素直に口にする。
「だったら、だったらもっとちゃんと抱いて、今すぐ安心させてよ」
「茜……」
帰省して、俺がこっちに戻る日が近づくと、茜はいつもそう言って俺を欲しがった。たまらなくなってめちゃくちゃに抱いても、俺を拒んだりはしなかった。