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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
その声は欲望を刺激した。俺自身をなだめすかしてでも、もっと聴きたくなる、艶やかで魅惑的な響きだった。

ストラップを歯で持ち上げて肩から下ろした。少し離れて眺めると、可憐で妖艶な女がそこにいる。

呼吸する度に、その胸元が上下した。

カップに添って唇を這わせると、前で組まれていた茜の両手が後ろに回される。

俺は、口でカップをずらし、久しぶりの柔らかな乳房に頬擦りをした。

「り、亮ちゃん、立っていられない……あっっ……」

乳首を甘く噛んで舌で味わう。吸い付き、舌で扱き、なめ回した。

「あ、あぁっ、亮ちゃん、ぅっ……お願い、支えて……」

切ない声が、もっと欲しくなった。

「もう、濡れてる?」

「し、しらない」

「確かめていい?」

「……や、やだ、なんでそんな事言うの?」

「今日の茜がエロいから」

こんな会話、した事なかった。
ただがむしゃらに、一方的に、性欲を満たしていた。

「指と舌。どっちがいい?」

「な、なにが?」

「だから確かめたいんだ、茜が今、どうなってるのか」

「…………」

「どっち?」

そっぽを向いたまま、茜は何かと戦っていた。

「茜……」

長い沈黙だった。

「……し、舌」

小さく震える声が答えを出した。

俺はひざまづき、薄くて軽い布地をよけながら、小さな布切れに顔を近付けた。
そして、横についているリボン結びの紐を見つけ、歯で引っ張ってほどいた。


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