この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
歪んだ鏡が割れる時
第5章 第五章
拍手の中、ステージに上がる副社長に、私達も拍手を送った。

一礼して再び喝采を浴びたその人は、どこかで見た事のある風貌だった。

「……っ!」

「ちょっと怖そうだけど素敵でしょ、あの方が専務さんから昇進した、松岡副社長よ」

そんな……。

「凄いやり手らしいの、松岡副社長なら誰も文句ないって、みんなが喜んで付いて行くって、主人が言ってたわ」

まさか……、こんな偶然が──。
あの人が雅人の上司……。

「嘘……」

思わずふらつき、彼女の肩に当たった。

「え、ねぇ、大丈夫? 酔っちゃった?」

「あ、ご、ごめんなさい。私、ちょっと座っても……」

「座って座って、今お水持ってくるから」

彼女がグラスを持って行ってくれなかったら、私はそれを落として割っていただろう。

落ち着け、誰も知らない事だ。

どうしよう、あの人もきっと驚く。
彼は大丈夫だろうか。

目が合っても、平静を装わなければ、冷静でいなければ……。おかしな素振りを見せてはならない。

大丈夫、出来る。
上手くいく、今までだってそうだった。

震える手足を、強くなる鼓動を、抑え込まなければならない、なんとしても。
私達の為に──。

ショルダーバッグを膝に置き、深呼吸を繰り返した。

なんでもない、大丈夫、大丈夫。

/195ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ