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歪んだ鏡が割れる時
第6章 第六章
「ほら、去年、叔父さんのつてで紹介してもらった会社のパーティー。人事部長さんの計らいで、私達特別に参加させてもらったでしょ? ま、途中で逃げ出したけど。 あの時の女の子、ていうかお嬢様」

「あぁ、あの子の事か」

返事をしながら胸が痛んだ。

「ホント別人だったね、コンビニで会った時と雰囲気が全然違ってた」

「うん」

「あの後どうなったかな、あの人達」

「さあ、どうなったんだろう」

ユウの本当の制服は、有名なお嬢様学校のものだった。

「面接する前で良かったね。断りやすかったし」

「うん、有名企業だったから、ちょっと残念だったけどね」

「だめだめ、やだよあんな会社、やめて正解」

「まあね」

ユウがステージに立った時、俺はまったく気が付かなかった。

あの豪邸の気取った妻と、副社長になったらしい旦那にはすぐに気付いた。

これはヤバい所に来てしまったと一瞬冷や汗をかいたけど、向こうは俺を知る筈がない。
だからほっとして茜と楽しんでいたら、なんと不倫相手らしき男を見つけた。

しかもあの旦那にぬけぬけと、昇進おめでとうございます、って握手なんかして。
しかもその後、やつの妻とも握手……。

──初めてかな? 妻の綾香だ

持っていた皿を落としそうだった。心臓が頭のてっぺんから飛び出すかと思った。

あの旦那は、あいつの上司だろ?
あの時たしかに写真を見たよな?

なんであんなにとぼけていられるんだ。来場者と酒を酌み交わし、まじで楽しそうに会話して。


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