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歪んだ鏡が割れる時
第6章 第六章
「亮ちゃんが、病院に通ったり、仕事辞めたりして、大変だった事何も知らないで、しつこく電話してごめんね。この事は黙っていようと思ったの。でも私、去年目の当たりにしたあのパーティーの事をずっと考えてて……寂しさって、胸に溜まっていくとよくないって改めて思ったの。どこかで吐き出してしまわないと……」

「茜……」

「だから私と亮ちゃんは、これからは何でもちゃんと話すようにしようね、」

バカな俺……。
大馬鹿野郎だ。
茜は寂しくても、踏みとどまったんだぞ。それなのに俺は……。

「茜、今は? 今は寂しくない?」

「うん、ちっとも。凄くあったかい、こうしていると安心」

「い、田舎に帰さないようにしようかな」

「ふふふ……、心配? 焼きもち焼いてくれる?」

「あたりまえだろ? 何個も焼くよ、焦げるまで」

ユウは今、寂しくないだろうか。
俺なんかと出会って、いい思い出になったのか?

もう髪を染めなくても、そのままの姿で、生きていけるよな?

俺はそう願うよ。

あんなに真っ直ぐ、大人と闘って、お前の純真さがわかったよ。
大切な人の為に……、母ちゃんの為に……。

ユウは、汚ない大人にはならないな。

──証拠は姿を消さなくちゃ

もしかしてユウは、茜の事を知ってたんだろうか。

俺の携帯電話を見る事なんていつでもできた筈だし、ポストに投函した後も、あの家の様子を探ったり、現場を録音したなら、俺にメールぐらい出来た筈だ。

茜の事を知ってたから、コンビニで出会した時も、知らん顔してくれたんじゃないのか?

お前、俺の事、大事に思ってくれてたのか?
ありがとう、ユウ……。








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