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歪んだ鏡が割れる時
第7章 最終章
卒業、入学シーズンが過ぎ、店内は落ち着きを取戻しつつあった。ブライダルジュエリーの予約がいくつか入り、今月の売り上げ目標をようやく達成出来た。
新デザインのパンフレットに目を通していると、不意に白石が隣に並んだ。
「どう?」
「え?」
「単身赴任のご主人の様子は」
「あ、はい、なんとかやっているみたいです」
「そう。たまには会いに行った方がいいわよ、いくら夫婦でも、信頼しあっているから問題ない、なんて思ったら大間違いよ」
私は、白石や美波に事実を告げる事が出来ず、夫は単身付近になったとだけ報告していた。
「別れた夫はね、赴任先で浮気してたわ」
「え……、そうだったんですか?」
白石の個人的な事情を初めて耳にした。
「あなたのご主人も同じだとは言わないけれど、まだ若いんだし、うちみたいに、相手の女性に子供まで出来たら大変なことになるわよ。結果的に、別れて正解だったわけだけど」
あまりの事に声も出ない。
美波は得意先との電話対応で、笑顔を振りまいている。
「忙しいからって事は理由にならないわ、こちらが信じていても、離れている相手を止める事なんて出来ないのよ」
「それは……、そうですね」
「あなた、少し痩せたわ」
「そうですか? 特に変わりはないんですけど」
「あら、山崎さんも心配してたわよ」
「え……」
美波がそれを黙っている事に驚いた。
「とにかく、たまには顔を見てきたら? 今は日帰り出来る距離でしょ」
「えぇ、まぁ……」
新デザインのパンフレットに目を通していると、不意に白石が隣に並んだ。
「どう?」
「え?」
「単身赴任のご主人の様子は」
「あ、はい、なんとかやっているみたいです」
「そう。たまには会いに行った方がいいわよ、いくら夫婦でも、信頼しあっているから問題ない、なんて思ったら大間違いよ」
私は、白石や美波に事実を告げる事が出来ず、夫は単身付近になったとだけ報告していた。
「別れた夫はね、赴任先で浮気してたわ」
「え……、そうだったんですか?」
白石の個人的な事情を初めて耳にした。
「あなたのご主人も同じだとは言わないけれど、まだ若いんだし、うちみたいに、相手の女性に子供まで出来たら大変なことになるわよ。結果的に、別れて正解だったわけだけど」
あまりの事に声も出ない。
美波は得意先との電話対応で、笑顔を振りまいている。
「忙しいからって事は理由にならないわ、こちらが信じていても、離れている相手を止める事なんて出来ないのよ」
「それは……、そうですね」
「あなた、少し痩せたわ」
「そうですか? 特に変わりはないんですけど」
「あら、山崎さんも心配してたわよ」
「え……」
美波がそれを黙っている事に驚いた。
「とにかく、たまには顔を見てきたら? 今は日帰り出来る距離でしょ」
「えぇ、まぁ……」