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歪んだ鏡が割れる時
第7章 最終章
小さな食卓がいっぱいになった。

「じゃあ、はい、お疲れ様」

缶ビールを開け、雅人のグラスに注ぐ。「ありがとう」と言った彼が私のグラスに注いでくれる。

「かんぱーい」

グラスを合わせると、夫はぐいっと一気に飲み干した。

「いただきます」

両手を合わせた後、すぐにこんにゃくを頬張った。

「旨いよこれ、味がよくしみてる」

「本当? 良かった」

一口毎に旨い旨いを繰り返し、ご飯を2回お代わりする。さっきまでしんとしていた部屋が温まり、色鮮やかになった気がする。

「こういうのを団らんっていうんだな」

「……家族団らん、だね」

自然に出た言葉だった。

「家族……で、いいの?」

雅人の言葉に改めてその意味を思った。

やり直せるだろうか……。
秘密を抱えたままで。

「あの、雅人」

「はい」

正座して、膝の上の両手を見つめた。

「言わなきゃいけない事があるの」

雅人も正座していた。

「私、雅人の事ばかりを責められない。あの時、自分だけ何もしてないような顔して雅人を責めたけど、そうじゃないの。……私、……私も、雅人を裏切ってた」

俯き、落胆する夫の言葉を待った。
何を言われても、受け入れる……。

「……知ってたよ」

「え?」

驚いて顔を上げた。

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