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歪んだ鏡が割れる時
第2章 第二章
「あっ」

「わかった?」

「今日は出掛けたのか、しかも男の車で」

「うん」

「くっそー、俺寝てたから見過ごした」

そこに写っていたのは、あの豪邸に出入りしているセールスマン風の男と、そこに住んでる小綺麗な女だった。

このアパートに越して来てから1年半、羨望の眼差しで毎日眺めていた家。俺がそのおかしな様子に気付かないわけがない。

窓に片肘を付いて眺めるのが日課だった俺は、ある日ふと違和感を覚えてより興味をもった。やがてもしやと疑い、数ヶ月後には確信に変わった。

あの女は不倫してる。
俺の見立てでは十ヶ月以上前から。

旦那の帰宅はいつも遅いし、昨夜のように帰ってこない時もある。所有している2台の外車が揃っている時に男は来ない。

ヤツは、昼間やって来て駐車場の空きスペースに自分の車を停め、人妻と楽しんでるんだ。

「今日は外でデートか。いつもはあの家の中でお楽しみなのにな」

「汚ならしい……」

吐き捨てるように言うユウは、見掛けによらず純粋で、いつもあの2人をクズ呼ばわりしていた。だから俺の計画にも乗り気で、いろいろ協力してくれる。

「もっと決定的な証拠があればなぁ」

「そのうちボロを出すんじゃないかな」

一日中見張ってはいられない。俺の休みの日にいつも何かあればいいけど、女が1人で買い物に出掛けるだけの日も多い。だからユウが撮ったこの写真は良い証拠になる。




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