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歪んだ鏡が割れる時
第2章 第二章
盆休みも終わり、暇な奴らでごった返していたパチンコ屋も落ち着きを見せ始めた。
久しぶりの休日に出掛けるあてもなく、網戸をすり抜けてくる蚊に刺されながら、つまらないテレビを眺めてる俺。
同じ毎日を繰り返し、馬鹿騒ぎする友達も金もない。

明日はまたバイト。でも実際は、このクソ暑い家にいるより、店の方が涼しくて楽だ。
俺みたいに部屋にエアコンのない奴らが、客の中にはたくさんいるんだろう。

しばらく姿を見せなかったユウから「これからお邪魔します」と連絡があった。
こんな暑苦しい部屋で抱き合うのもどうかと思うけど、場所を選んでる場合じゃない。性欲を満たすのが先だ。

とりあえず部屋を片付け、シャワーを浴びてシーツを取替える。部屋用の消臭スプレーも振り撒いた。

ドアを開けたとたんに飛び掛かるか、それとも狭いユニットバスでいじめてやろうかと、闘志むき出しの俺。それを見抜いているかのように茜から電話が入る。

「はい」

「亮ちゃんこんばんは」

弾んだ声がした。

「あぁ茜、バイトがんばってる?」

「うん、コンビニって凄く忙しいのよ、でも楽しいの。あ、今日はね、ちょっとお知らせがあって電話したの」

「お知らせ? なに?」

「私ね、10月にそっち行くよ」

「え?」

やばい……。

「ほら、私の就職。知り合いの会社だから採用は決まってるんだけど、見学も兼ねて、一度顔を出した方がいいって事になって」

「あ、あぁそうなんだ。確かにその方がいいよな」

「ねぇ、その時会えるかな」


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