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歪んだ鏡が割れる時
第2章 第二章
「家に入ってったよ」
うなだれている俺に、外を覗いたユウが報告する。
「あぁ」
頭が真っ白だった。
なぜ今日に限っていつもと違うんだ。こんな事ってあるかよ。俺は、あいつを巻き込みたかったわけじゃないんだ。
信じていた妻の浮気を目の当たりにして、ヤツはどうするんだ。
しかも脅迫状……。
「バレちゃったから、もうお金取れないね」
「……そうだね」
「あの女、追い出されるよね」
「そうかもな。少なくとも、不倫相手とは別れるだろうね」
俺は、金なんてどうでもよくなっていた。そんな事より、俺のせいで、あの家庭が壊れる。それが恐ろしかった。
名前も知らなかった、挨拶した事さえない。
立派な家を構え、裕福なくらしをしている他人に嫉妬して、その結果がこれだ。
頭を抱えている俺の肩をユウが優しく摩る。
「お金ないと困る?」
「いや、金はもういい、真面目にコツコツやっていくよ。それより俺、見ず知らずの人の家庭をめちゃくちゃに……」
「当然の報いだよ」
冷めた声だった。
「え……」
ユウの顔を見た。
「計画通りにはいかなかったけど、ああいうのっていつかはバレるよ。亮さんのせいじゃないし、本当の事を知ってよかったんだよあの人も」
「そうか?」
「そうだよ。ずっと裏切られてて気が付かないなんて、惨めなだけだよ。舐められてるだけだと思う。だからこれでよかったんだよ」
うなだれている俺に、外を覗いたユウが報告する。
「あぁ」
頭が真っ白だった。
なぜ今日に限っていつもと違うんだ。こんな事ってあるかよ。俺は、あいつを巻き込みたかったわけじゃないんだ。
信じていた妻の浮気を目の当たりにして、ヤツはどうするんだ。
しかも脅迫状……。
「バレちゃったから、もうお金取れないね」
「……そうだね」
「あの女、追い出されるよね」
「そうかもな。少なくとも、不倫相手とは別れるだろうね」
俺は、金なんてどうでもよくなっていた。そんな事より、俺のせいで、あの家庭が壊れる。それが恐ろしかった。
名前も知らなかった、挨拶した事さえない。
立派な家を構え、裕福なくらしをしている他人に嫉妬して、その結果がこれだ。
頭を抱えている俺の肩をユウが優しく摩る。
「お金ないと困る?」
「いや、金はもういい、真面目にコツコツやっていくよ。それより俺、見ず知らずの人の家庭をめちゃくちゃに……」
「当然の報いだよ」
冷めた声だった。
「え……」
ユウの顔を見た。
「計画通りにはいかなかったけど、ああいうのっていつかはバレるよ。亮さんのせいじゃないし、本当の事を知ってよかったんだよあの人も」
「そうか?」
「そうだよ。ずっと裏切られてて気が付かないなんて、惨めなだけだよ。舐められてるだけだと思う。だからこれでよかったんだよ」