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第1章 シーン1

　周囲のざわめきが小さくなる。

　観客はこれから起こることへの期待からステージに集中し始める。

　奈緒美はスタッフに促がされて、何歩か進まされた。柔らかな足元の感触は多分ステージの中央に敷かれたマットの上に立たされたのだろう。

「これからプレイが始まりますが、落札されたあなたは奴隷です。落札した方はご主人様です。奴隷は精一杯ご主人様に使えていただきます。それではスタート致します。まずは亀甲縛りからです。」

　しゅつしゅつという縄のすれる音がする。

　一度快感の頂上へ登りつめたはずなのだが、体の火照りは収まるどころか真一との行為への期待からますます激しくなってくる。

　そう、そうよ、皆に見られることで興奮するの。

　真一、みんな見てる？

　縄が首に掛けられ体に前面に結び目が作られていく。肌を縄がこすれる度に軽い快感が走る。

　もう奈緒美の頭の中にはきっちり緊縛された自分の姿が浮かび上がっていた。