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第1章 シーン1

　奈緒美はまだ機嫌が直ったわけではなかったが。なんとなく騙されたのだということは理解した。

　奈緒美が口に含んだ男性は誰なのかは最後まで教えてもらえなかった。

　真一にこのままでは済まさないよと言って睨み付けると、真一はにこっと微笑んで奈緒美の腰に手を回し引き寄せて口付けをした。

　奈緒美は真一はずるいっ！と言いながら、次のオークションに出る自分を想像していた。

　あのまま誰とも分からない相手に陵辱されたらどうなってしまうのか、本当に自分は嫌がっていたのだろうか、或いはどこかでそれを期待している自分がいたのではないか。

　そう考えたとき、奈緒美の体の中で快楽の扉を開け放つ悪魔が笑みを浮かべているのが分かった。　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完