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お礼の時効
第7章 まだ春季の心にあの男がいる
≪まだ……春季の心にあの男がいる……≫

呻くような低い声だった。その言葉の意味がわからずにしばらく考えてみたが心当たりがない。
あったとしてもそれはすでに整理がついた話で、和臣に一切関係ないことだ。
春季はもしやと気がついた。和臣が言っていた≪あの男≫とは自分のかつての恋人のことかもしれないと。
そうだとすれば合点がいく、先週の金曜日思いがけずかつての恋人と遭遇し手ひどい仕打ちをうけた。
自分が泣いた理由を和臣が誤解していたら、そうたとえばまだ想っている相手からあのような侮辱を受けたと考えれば納得がいく。

なんと言えば和臣は納得するのだろうか、終わった話なのに。
なぜ和臣に弁明が必要なのだろう、なぜその言葉を探しているのだろう。

ふと気づいた。

これではまるで和臣に浮気を疑われ、その疑いを晴らすために自分が必死になっているようなものじゃないか。
冗談じゃない、人の話を悉く無視して、自分の想いをぶつけるだけのあの男を愛しているとでも?

途端に体が熱を持った。顔が熱い。

和臣のところに居るのは、お礼をさせろと言われたからだし、そのうち愛想でも尽かしてくれたらいいと思っている。
転職だって、仮に和臣と同じ法廷に立ったとき、あらぬ噂を周りに立てられたくないからだ。

自分の中の何かが揺らぐ。足元が崩れそうな錯覚に陥る。

どうしたらいいのだろう…

春季は深いため息をついた
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