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お礼の時効
第7章 まだ春季の心にあの男がいる
「浅野検事? 生きてますか?」

詩織は執務室の机の椅子に腰掛けている和臣に声をかけた。
一見書類を読んでいる風にみえるのだが、書類のページは止まったままで、他のことを考えているのは間違いない。

この状態になって既に1時間が立った。そろそろ午前中の取り調べが始まる。頼むから「いつもの浅野検事」に戻って欲しい。

「時任弁護士と何かあったんですか?」

和臣の体がびくりと跳ねた。深いため息をついている。表情は窺えないが、間違いなく良い表情ではないはずだ。

「羽田さん」
「どうしました?」
「過去の男は、ずっと心に残りますか?」

詩織は嘆息した。思うに女弁護士の過去の男が関係しているようだ。それに自分の上司は心乱れて仕事どころでなくなっている。

「私の場合は、いい思い出だけは残しますが、それ以外は記憶から消しますね。浅野検事はどうなんですか?」
「私ですか? 私は彼女としか付き合ったことはありませんから、わかりません」

詩織は思いも寄らぬ言葉を聞いてしまい、なぜだか心苦しくなった。
自分が知る限り、確かにこの上司の浮いた話は聞いたことがない。
32にもなれば、それなりの女性関係もあったと勝手に思っていた。だが、この様子だとあの女弁護士が色んな意味で初めての相手、詩織は閉口した。

「……そうですか。」

これしか言葉が出ない。しかし今は仕事が優先だ。

「それよりも、浅野検事。そろそろ被疑者取り調べの時間です。」

和臣はその言葉を聞いてため息をついた。
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