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お礼の時効
第9章 私と結婚してください
「羽田さん、私は勘違いをしていたようです。というより考えていませんでした」

 朝の打ち合わせを終えた後、詩織は和臣に呼び止められた。

 先日話をしていた時に詩織が話した「新婚」とは、和臣と春季を指したものだったのだが、和臣は自分たちのことだと思わずにいた。それを詩織に説明されて、ようやく理解し、春季にプロポーズという運びとなったのだ。

 どうやらその時の話の続きのようだ、詩織は和臣の方を向いた。

「あの『新婚』のことですか?」
「ええ、そうです。結婚というより、一緒に暮らしたい方に頭がいってしまい、あのままだと危なく春季にまた怒られるところでした」

「また怒られる」という和臣の言葉に、詩織は二人の力関係を見たような気がした。和臣の様子を見るとどうやら結婚の話をしたようで、しかも喜ばしい返事を貰ったらしい、あとはこのまま何事もなく過ぎることを詩織は願っていた。

「よかったですね、もしかしたらと思ったら……。あのままだとただの同棲にしか過ぎないので、それこそ問題ですよ」
「問題? なにが?」
「お二人が万が一同じ事件を担当することになったらどうしますか? 浅野検事! よもや考えてないとは言わせませんよ」

 詩織の気迫に押され、和臣は考えていないとしどろもどろになりながら答えた。
 詩織は深いため息をつき、怒りの声を上げた。

「いくら時任弁護士が優秀でも、男と女ですよ! 周りの人間は好き勝手言います! 結婚ならともかく同棲となると時任弁護士が一番のやり玉にあげられることになるんです!わかりますか?」

 和臣ははたと気が付いた。昨夜春季は何かを話しかけていたからだ。もしかしたらそれかも知れない、和臣はそう思うと居ても立っても居られなくなり、思わず執務室を出ようとした。
しかし、それを詩織が呼び止めた。

「まずは今日の仕事を片付けてからにしてください! そして今日は早く帰って話をして下さい!」

 和臣はそれに苦笑いを浮かべ、嘆息していた。
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