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お礼の時効
第9章 私と結婚してください

春季は定時に退社して、マンションで夕食を作っていた。
先ほど和臣から定時に地検を出るとメールが届き、少しだけ手の込んだ料理の準備をしながら待っていた。
しばらくすると和臣が帰宅し、キッチンに立つ春季の姿を眺めたあと着替えてリビングに戻ってきた。
「春季、今日はこれからのことを話しましょう」
ソファに腰掛けた和臣が春季に告げた。春季は料理を盛り付ける手を休めずに頷く。
早い時間に夕食を取ったことがない二人は、ビールを飲みながら食事を取った。他愛ない会話をして時折春季が和臣に冷たい言葉を放つ。和臣はそれを春季の照れからくる言葉だと分かっているので、そのまま会話を続けた。
夕食を終えて、春季は和臣の向かいに座り、話を待っていた。
「春季、私は検事を辞めようと考えています」
春季はその言葉に驚いた。自分の予想の付かないことを耳にしたからで、まさか和臣からその言葉を聞くと思わなかったからだった。
「どういうこと? 和臣」
「だって春季と私が同じ事件を扱ったら、周りが気を遣うでしょ? 幸い私も弁護士になれますし、一緒に事務所でも開きましょうか? 苦労はさせてしまいますが……」
「ちょっと待って。私来年から企業法務のほうに転職するつもりなのよ」
「え?」
「友人から前々から誘われていたの、自分が働いている会社の企業内弁護士にね。その話を受けて来年からそちらにいく予定なの」
先ほど和臣から定時に地検を出るとメールが届き、少しだけ手の込んだ料理の準備をしながら待っていた。
しばらくすると和臣が帰宅し、キッチンに立つ春季の姿を眺めたあと着替えてリビングに戻ってきた。
「春季、今日はこれからのことを話しましょう」
ソファに腰掛けた和臣が春季に告げた。春季は料理を盛り付ける手を休めずに頷く。
早い時間に夕食を取ったことがない二人は、ビールを飲みながら食事を取った。他愛ない会話をして時折春季が和臣に冷たい言葉を放つ。和臣はそれを春季の照れからくる言葉だと分かっているので、そのまま会話を続けた。
夕食を終えて、春季は和臣の向かいに座り、話を待っていた。
「春季、私は検事を辞めようと考えています」
春季はその言葉に驚いた。自分の予想の付かないことを耳にしたからで、まさか和臣からその言葉を聞くと思わなかったからだった。
「どういうこと? 和臣」
「だって春季と私が同じ事件を扱ったら、周りが気を遣うでしょ? 幸い私も弁護士になれますし、一緒に事務所でも開きましょうか? 苦労はさせてしまいますが……」
「ちょっと待って。私来年から企業法務のほうに転職するつもりなのよ」
「え?」
「友人から前々から誘われていたの、自分が働いている会社の企業内弁護士にね。その話を受けて来年からそちらにいく予定なの」

