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お礼の時効
第9章 私と結婚してください
「春季、改めて言わせて下さい。あなたを愛しています。私と結婚して下さい」

 春季はその言葉を聞いて、顔を上げた。
 和臣の視線を感じるが直視できずに顔をそらす。

 困ったような、照れているような顔の春季が堪らなく愛おしく思えて、和臣は微笑みながらその姿を眺めていた。

「私は素直じゃないから、冷たい言葉をかけるかもしれないわよ」
「なら、それに付き合いますよ。毎日でも」
「それに、私は結構嫉妬深いわよ」
「春季以外の女性は興味ありません」
「料理も下手よ」
「なら一緒に食べに行きましょう」
「あと----

「春季、返事をもらえませんか?」

 痺れを切らした和臣は、春季に返事を促した。
 おずおずと和臣の方へ目を向けた春季は、検事として自分に向き合ったときのように婉然とした笑みを浮かべたその姿にどきりとしてしまった。

「幸せにしてくれなかったら、即離婚よ……」

 和臣は余裕の笑みを浮かべる。

「望むところですよ。どれだけ私が春季を愛しているかこれから教えてあげます。逃げないで下さいね」

 春季も負けじと口元を引き締め、和臣に言い放った。

「受けて立とうじゃないの、負けないわよ」
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