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お礼の時効
第9章 私と結婚してください
「ねえ、明日の結婚式のことだけど」
「どうしました? 春季」

 仕事を終えて帰宅した和臣を待っていた春季は、1枚のパンフレットを差し出した。

「明日の余興のリスト見て」

 和臣がそのパンフレットを見ると、地検の事務官が披露する余興の詳細が書かれていた。
 数こそ少ないが余興の一つ一つを見ていると、おなじみの法律用語が並んでいて、これもまた職業病かと和臣は口元をゆるめていた。だがある箇所に目をとめた和臣は、そこに書かれていたものを見てぎょっとした。

『事務官は見た! 浅野検事の真実』
作:羽田詩織
概要:羽田事務官から見た浅野検事のあれやこれ

 詩織は自分のへたり込んだ姿を知っているただ一人の人間だ。
 せっかく春季と結婚式を挙げる日にアレを出されてはかなり困る。それだけ春季を愛しているのだと開き直るにしても、今度は春季にあきれられてしまうかもと和臣は不安を感じてしまった。

 そんなとき春季が和臣に尋ねてきた。

「ねえ、聞きたくないけど聞いて良い?」
「いえ、聞かないで下さい」

 間髪いれず返る台詞に春季は首を傾げていた。自分が知らない和臣がそこにいる気がして、どこか不安を感じてしまう。なにかを隠していることがあるのは明確で、しかもそれは和臣にとってあまり喜ばしいことではないようだった。

「聞かない方が良いこともあるわよね。ごめんなさい、変なこと聞いて」

 春季の言葉に和臣は驚いた。なにか誤解をさせてしまった気がして仕方がない。でもなんと説明したらいいのだろう。春季の背中を追いかけ抱きしめた。甘いミルクの香りが鼻腔をくすぐり、和臣は一つ息を吐いた。

「春季にはみっともない自分を見られたくないんです……」

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