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お礼の時効
第9章 私と結婚してください
「春……季……? それは?」

 和臣は私の体を驚いた顔で見詰めていた。恥ずかしくなって手で胸元を隠すが、体のラインを全く隠さないナイトドレスを身につけているのでかえって羞恥を覚えてしまう。和臣と顔を会わせられなくなって顔を逸らすが、痛いくらいに彼の視線を感じていた。

「恥ずかしいからあまり見ないで……」

 和臣が恐る恐るベッドに近づいて照明を少しだけ落とした。
 体が熱い、思わずこれを贈った祥子を恨んでしまう。

 結婚祝いと渡された箱の中身を見ると、レースのナイトドレスで、しかもショーツまでもがすべてレース。実用性の全くないデザインに目が点になった。
 祥子に言わせれば、これはスパイスなのよということらしい。きっと和臣も喜ぶからと付けてみた。

「春季……、綺麗だ。もっと見せて下さい」

 和臣の声が上擦っている。彼は興奮を隠せないらしい。恥ずかしいけど、レースが肌を擦る度にその場所から火照っている。もどかしさを感じて、手を下ろす。

 ベッドの上に座る私の隣に和臣は座った。手が胸元のリボンを解いた。しゅるしゅるとシルクが擦れる音が艶めかしく感じる。
 はらりとはだけた前身頃、露わになった体。ごくりと和臣が咽を鳴らした音さえも聞こえてしまう。まだ和臣の視線は乳房のあたりを彷徨っている。顔を逸らしたところで分からないわけではない。ピンと立ち上がる乳首の感触、痛いくらいに感じていた。
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