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幸せの時効
第7章 困惑

秋の気配を感じた。15年前のあの日を思い出していた。
そんなある日一通の手紙が届く。宛名を見ると湯島からだった。今頃何を言いたいのだろう。封を切って手紙を取り出した。相変わらず綺麗な文字を書いていた。手紙の内容を目で追ううちに、私は15年前の真実を知った。そして再会したときの湯島の心の内も。
湯島からの手紙を読み終えて、私は激しく動揺していた。
事務官が慌てて近づいてくる。
「高島検事、顔が真っ青です。医務室へ……」
「……大丈夫よ、少し席を外すわ……」
よろよろと立ち上がり執務室を出た。次の取り調べまであと一時間ある。その間になんとかしなければ。階段の踊り場の壁に手を突いて項垂れていた。
「高島検事、どうしました?」
階段を登ってきていた相模が声をかけてきた。
「あ……なんでもありません……。少し気分転換をしようと……」
私が言い終わらないうちに相模は私を抱き締めて、自分の胸に私の顔を押し付けてきた。
「何があったかは聞きません」
背を撫でる相模の手の動きが優しく思えて、私は声をあげて泣いてしまった。
今頃湯島はなぜこんなことを?
湯島からの手紙の最後には、こう書かれていた。
あの日話したことは全て嘘だ、と。
そんなある日一通の手紙が届く。宛名を見ると湯島からだった。今頃何を言いたいのだろう。封を切って手紙を取り出した。相変わらず綺麗な文字を書いていた。手紙の内容を目で追ううちに、私は15年前の真実を知った。そして再会したときの湯島の心の内も。
湯島からの手紙を読み終えて、私は激しく動揺していた。
事務官が慌てて近づいてくる。
「高島検事、顔が真っ青です。医務室へ……」
「……大丈夫よ、少し席を外すわ……」
よろよろと立ち上がり執務室を出た。次の取り調べまであと一時間ある。その間になんとかしなければ。階段の踊り場の壁に手を突いて項垂れていた。
「高島検事、どうしました?」
階段を登ってきていた相模が声をかけてきた。
「あ……なんでもありません……。少し気分転換をしようと……」
私が言い終わらないうちに相模は私を抱き締めて、自分の胸に私の顔を押し付けてきた。
「何があったかは聞きません」
背を撫でる相模の手の動きが優しく思えて、私は声をあげて泣いてしまった。
今頃湯島はなぜこんなことを?
湯島からの手紙の最後には、こう書かれていた。
あの日話したことは全て嘘だ、と。

