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幸せの時効
第10章 永遠

湯島と暮らし始めて2カ月が経ち、秋も深まりを見せはじめた頃、湯島は手術を受けて、その後は特に問題なく日常生活を送れると診断された。再発の可能性は高いが、それでも二人で居られる時間は増えたのだ、それだけでも嬉しかった。
湯島の生殖機能も早い段階で回復し、時間が許す限り愛し合った。そして秋の終わりに私は湯島の子を宿した。
地検の皆は驚いていて、相模からも体を気遣うように諭された。事務官は目を白黒させて、慌てて執務室に柔らかいブランケットとクッションを用意した。
「高島検事の体が第一です! 旦那様(・・・)に心配させないようにしてください!」
実は妊娠する少し前の秋の日に私たちは夫婦となった。
籍を入れる前に湯島の妻と話をし、離婚の意思を確認させて貰ったところ、彼女から告げられたのは湯島への謝罪だった。
湯島への愛情は、実は依存だったと彼女は話した。彼女の両親は早くに亡くなり、兄である男の庇護の元育ったのだという。
その兄が結婚を決めたことで、彼女の結婚が急がれた。そして見合いで湯島と出会い、そのまま結婚をしたのだ。彼女からすれば兄代わりのようなもので、多少の好意はあるにせよそれは愛情まではいかなかったようだ。だから妻である自分を守るため子供を求めたのだという。だけどそれが叶わないと知って、彼の弟に逃げた。すぐに妊娠したが、彼の弟は彼女から逃げたのだ。
恐らく湯島の弟にも依存していたのだろう。なんとなくだがそう感じた。
この15年、湯島は妻と子供に対し精一杯向き合おうとしていたようだ。だが、妻はそれを拒み、子供にもそれを強いた。子供が一番不憫でならない。妻の弱ささえなければと感じたほどだ。
「この15年、湯島は私と子供に尽くしてくれました。離婚届を渡したのは、せめてものお礼です。どうか、彼を幸せにして下さい」
「あなたはまだ気づいていない。彼がどんなにあなたと子供を愛そうとしたか。彼は不倫した償いをあなたにしたというのに、あなたはそれを拒んだ。そして自分が悪いと責めて、その償いに離婚届を差しだした。本当に自分が悪いと思うならば、逃げずに湯島と向き合うべきだったのではないでしょうか」
湯島の妻は泣き崩れた。
その数日後、湯島の妻は離婚届を提出した。
湯島の生殖機能も早い段階で回復し、時間が許す限り愛し合った。そして秋の終わりに私は湯島の子を宿した。
地検の皆は驚いていて、相模からも体を気遣うように諭された。事務官は目を白黒させて、慌てて執務室に柔らかいブランケットとクッションを用意した。
「高島検事の体が第一です! 旦那様(・・・)に心配させないようにしてください!」
実は妊娠する少し前の秋の日に私たちは夫婦となった。
籍を入れる前に湯島の妻と話をし、離婚の意思を確認させて貰ったところ、彼女から告げられたのは湯島への謝罪だった。
湯島への愛情は、実は依存だったと彼女は話した。彼女の両親は早くに亡くなり、兄である男の庇護の元育ったのだという。
その兄が結婚を決めたことで、彼女の結婚が急がれた。そして見合いで湯島と出会い、そのまま結婚をしたのだ。彼女からすれば兄代わりのようなもので、多少の好意はあるにせよそれは愛情まではいかなかったようだ。だから妻である自分を守るため子供を求めたのだという。だけどそれが叶わないと知って、彼の弟に逃げた。すぐに妊娠したが、彼の弟は彼女から逃げたのだ。
恐らく湯島の弟にも依存していたのだろう。なんとなくだがそう感じた。
この15年、湯島は妻と子供に対し精一杯向き合おうとしていたようだ。だが、妻はそれを拒み、子供にもそれを強いた。子供が一番不憫でならない。妻の弱ささえなければと感じたほどだ。
「この15年、湯島は私と子供に尽くしてくれました。離婚届を渡したのは、せめてものお礼です。どうか、彼を幸せにして下さい」
「あなたはまだ気づいていない。彼がどんなにあなたと子供を愛そうとしたか。彼は不倫した償いをあなたにしたというのに、あなたはそれを拒んだ。そして自分が悪いと責めて、その償いに離婚届を差しだした。本当に自分が悪いと思うならば、逃げずに湯島と向き合うべきだったのではないでしょうか」
湯島の妻は泣き崩れた。
その数日後、湯島の妻は離婚届を提出した。

