この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
幸せの時効
第2章 本気
「さて、続けようか」

 彼は足を組み直し、またテキストの文字を目で追っていた。沈黙がこんなに重苦しいとは思わなかった。早く時間が過ぎてくれれば良いとさえ思っていたほどだ。ちらと彼の左手を見やる。あの時の子供が中学を卒業したから離婚したと言っていた。そして自分を愛してしまったからだと。誰かの不幸の上に自分の幸せはあってはならない。その前に15年前自分は心を捨てたのだから。

 もう二度とここへは近づいてはいけない。また15年前のように心が揺れる。

「……もう……ここへは来ません。失礼します」

 ソファから立ち上がり、一目散にドアに向かった。すると目の前に大きな手のひらが見えた。ドアを押さえられた。

「本気だと言ったはずだ、ゆず……」

 怒気を胎んだ低い声に思わず身が竦む。

「私はもう、気持ちはありません。やめてください」

 喉が引き攣り、振り絞るように声を出した。自分の声が震えているのが分かる。お願いだからもう辞めて欲しい、こんなことは。

「嘘だ……、ならどうしてこんなに震えている」

 背中に彼の体温を感じた。15年ぶりの温もり。抱きしめられて、私はまた泣き崩れていた。
/29ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ