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小田桐菜津子と七つの情事
第1章 最初の情事
やはり硬さの残る足首をゆっくりと円を描くように回す。
「ここ、固まっているの、分かりますね?」
「は…ぃ……」
彼女の返事の声が小さくなっている。
身体がリラックスしてきて、少し気だるさを感じている証拠だ。
そのまま足首をゆっくりとねじり、ふくらはぎの筋膜をそっとゆるめる。
ある程度その作業を続けると、彼女の身体がやわらかくほぐれてくるのが分かる。
「大分いいみたいですね」
「はぁ…。すごく…、気持ちいいです」
声にも明らかに緊張を解いた雰囲気がこもっている。
「他に、疲れているところはありますか?」
「肩、」と彼女は答えた。「1日緊張しっぱなしだったから」
その言葉にいま一度彼女の上体を調整できる位置に移動し、背筋に右手をうなじに左手を置く。
うなじに置いた手を生え際にぺったり合わせる。これまでの施術で温まった手のひらの熱を、うなじに伝える。それだけでずいぶん人は緊張を解くことができる。同時に背筋にも手のひらを置き、揺らしを与える。ブラジャーのストラップが邪魔だが、これは致し方ない。
そのままの状態で口を開かずにしばらくの間、揺らしを与えていた。
夜の部屋中には、小さな街の音も届かず、ただ彼女の吐息だけが聞こえていた。