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小田桐菜津子と七つの情事
第1章 最初の情事


私がそれに気づいたのは、職業柄だろう。

最初ははるか遠くの潮騒だったものが、気づけば足元に潮が満ちて来ていた。
うつ伏せに寝ている彼女は、内腿を閉じてわずかに擦り合わせている。時折、腰がわずかにくねる仕草も見受けられる。

夜のこの時間。
見知らぬ男性に身を預け、身体に触れられ、ゆっくりとリラックスさせられて、血の巡りが良くなる。
特に彼女のように成熟した女性ほど、そういう時にスイッチが入りやすい。

人の身体を扱う者として、こういう時、どこをどうすれば、より深くそのスイッチを入れられるかは分かる。それは基礎の応用というものだ。
だが、プロの施術者として、また経営者として、それはあってはならない行為だ。
多少性的な興奮を覚えたとしても、多くの女性はそれを認められないし、ましてや第三者にそれを指摘されることなど、ありえない事態だろう。
そのことで万が一、顧客からクレームや訴えを起こされたら、この業界ではもはや働いていけない。

私は何事もなかったかのように施術を続けた。
しかし、彼女の身体がどんどん熟してくるのが分かる。

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