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小田桐菜津子と七つの情事
第4章 四人目は同級生
五年ぶりに開かれた高三のクラスの同窓会。
同級生の半分が地元を離れて県庁所在地で働いていることから、同窓会は隣の市の地元でなく、より賑やかなこちらの街で開かれた。
新しく開業した新幹線の停車駅でもあり、東京に出て行った連中も来やすいだろうという配慮もあった。
そして鈴村は、その期待に答え、珍しくこの会に顔を出してくれた。
「両親は二人ともここの人じゃなかったから、いまはこの街を離れて暮らしてるわ。だから私ももう、ここに帰る家なんてないのよ」
二杯目のビールを飲みながら、鈴村はそう答えた。
「結婚は、何年目なんだっけ?」
「四年目かな」
「子どもは?」
「やーね、笛木くん。そういうの、デリカシーがないって言うのよ。そんなのイキナリ聞くのは最近よくないのよ」
笑いながらオレをたしなめる鈴村は、昔と変わらずサバサバとして、重たいところがない。だからこんなデリケートな問題も気楽にいなしてくれる。
「うるせーよ、ここは東京じゃねーんだよ。オレ達田舎もんは、そもそもデリカシーなんて持ち合わせちゃいねーよ」
「知ってる。高校生の時も、私に『お前が泣くとこなんて想像もできない』なんて失礼なこと、平気で言ってたもんね」