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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
東京には、付き合っている人がいた。
大学のサークルで知り合った、一つ下の女の子だ。健気で、明るくて、とてもいい子だと思う。
彼女にとって、ぼくは初めての男だった。
ぼくにとっては二人の目女性だ。
最初のひとは、東京に来てすぐ、バイトで知り合った専門学校の生徒だった。
飲み会で意気投合して、ぼくのアパートに連れ帰り、ぼくは童貞を卒業した。
その時は、童貞を捨てるということにばかり目を取られていて、彼女のことを可愛がる余裕なんて全然なかった。
彼女もそんなに男性経験が多いわけではなかったので、我々のセックスはずいぶんぎこちないものだった。それからふた月ほどして、彼女に新しい恋人が出来、ぼくはフラれた。彼女流に言えば、別れた、ということになる。
セックスと一緒に、そういうのも初めて経験した。地元で高校生をしてた頃は、セックスの手前までしか経験したことはなかったし、別れるとかそういう大人っぽいことを言うような付き合い方を誰もがしてなかった。
東京で、ぼくはスゴい大人になった気がしていた。