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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
思わず彼女の横顔を盗み見る。
その人は涼しい顔で窓の外に片目を投げながら、スマホの画面を手繰っていた。
もう一度、メッセージの着信を伝える振動。
画面を見る。
八朔:何色だった?
矢上:黄色…
八朔:やっぱり見てたのね
矢上:すみません
八朔:ドキドキした?
え、と思った。
彼女の顔を見たかったけれど、そうするのもはばかられた。
矢上:はい…
八朔:すごく。。ドキドキしたのね?
矢上:はい… すごくドキドキしてしまいました…
八朔:もう一度、
のあと、一瞬間があいた。
ほんの一瞬だったと思うのだけど、ぼくにとっては永遠のような間だった。
八朔:見たい?
矢上:
ぼくはまた、言葉に詰まった。
何と言えばいいのか、何と言わせたいのか。
八朔:見てごらん