この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
その言葉に手繰られるように、彼女の横顔を見る。
その人は、窓の向こうの風景を見ていた。彼女の頭の向こうに、時速200kmですっ飛んでゆく、田舎の風景が見えた。
そしてその指は、今一度、スカートを膝上までたくし上げていた。
レモンイエローに、白いレースの縁どりのある、小さな三角形が見えている。
ほんのりとピンクに色づいた内腿の白い素肌に、その淡い色のデルタ地帯が、強く印象に残る。
永遠にも思えるような、ほんのわずかな時間。
彼女の指がスカートを下した。そしてその手が、スマホの画面を素早く滑る。
八朔:どんなだった?
矢上:
ぼくは答える言葉を失っていた。
八朔:矢上くん、って言うんだ
矢上:はい
八朔:どこまでいくの?
矢上:東京です
さっきの出来事など何もなかったかのように、彼女は話しかける。
ぼくも必死に普段の自分を取り戻して、それに答える。
八朔:学生さん?
矢上:大学生です
八朔:日に灼けてるのね
矢上:実家で、、、
そこまで書きかけて、「畑仕事」と書くのをためらった。こんな都会のひとに、そんな田舎臭いコト、言えない気がした。
八朔:おしえて。ご実家で何をしていたの?
矢上: