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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
矢上:なんていうか、見ちゃったのはすみません。でも、止めてもらえますか、そういうの。やっぱ見ちゃうんで。からかわないでください。
自分でも、そんなことを書いたらせっかくのチャンスが消えてしまうと分かっていた。分かっていたけれど、それとは別の主張をする自分の心を偽ってはいけない、と思った。
八朔:からかってなんか、ないんだとしたら?
え? どういう意味だ? なんだか自分が急に日本語を母国語としない外国人になった気分がした。
矢上:え、どういう
そこまで書きかけたところ、また彼女がメッセージをかぶせてきた。
八朔:見て
今度はブルーのブラウスのボタンだった。
その指が、最初から開かれていた第一ボタンの次のボタンを外した。そして次のボタンも。次のボタンも…。
上から四つのボタンを外すと、そこにはパンティーと同じ色のブラが見えた。
前をはだけたブラウスをかすかに持ち上げ、彼女はその中のふくらみを、密かに見せてくれた。
風をそこに送り込むかのように、ブラウスの端をつまんでパタパタと煽る。
八朔:何色か見えた?
矢上:もう…止めてください…本当に
八朔:見えたでしょ?
矢上:
ぼくはまた、返答に詰まった。
いっそスマホの電源を切り、背面カバーを開いて電池を抜いてしまおうかと思うくらいだった。