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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目


窓の外には、札幌の夜景。
居心地の良いホテルだ。
私は撮影でここにしばらく滞在することとなり、制作会社にこのホテルをアレンジしてもらった。
スウィートと呼ぶほど格式高くはないが、ある程度の連泊を想定したしつらえが、部屋全体になされている。

「両脚の太ももを、左右のひじ掛けにかけなさい」

私は冷静に命令する。

「え…」

戸惑う女。
もう一度、指示を出そうか、それとももっときつい言葉で咎(とが)めようか、一瞬迷い、そして私は黙る。
目隠しされた女は、私の言葉を待っているようだった。
私はあえて、口をつむった。
女が私の予想通り賢い女であるならば、指示に従うだろう。
さもなくば、衣服を着させて部屋から追い出すだけだ、と思っていた。

目隠しされた女が全身で私の気配を探る。
私は息もせず、じっと女の次の動きを見守る。
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