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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目
ロックグラスに三分の一。
透明な栗焼酎をふたつ、注ぐ。
私はベッドの縁に腰かけた。
からん、と氷を一度鳴らして乾杯の合図とした。
ふたりでキツい焼酎を口に含む。
鼻の奥に抜けて行く、栗のほのかな香り。
そして喉を下る冷えた炎。
「大胆にして繊細。芳醇にして純粋。そう思わないか?」
部屋の外。
窓の向こうは札幌の夜の街が見える。
「ーー思います」
素直な返事が帰ってきた。
「SEXと同じだ。矛盾と整合を同時に孕(はら)み、かつ燃え、かつ冷める」
「はい」
女の目を見る。
女もまた、こちらの目を見返す。
「尋ねるがーー」ひと呼吸。「何しに来た?」
「好奇心を、」女が目線を逸らす。「抑えきれませんでした」