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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目


そして女はもう一杯、杯を煽ると、透明な酒を飲み干して、言った。

「しばらくの間、何人かの人に抱かれて来ました。
最初は逝くのが怖くて、逝かされる直前に身を離したりもしました。
でも、逝くことにも慣れました。
そのうち何かが見つかると思ったんです」
「気取るな。性欲に負けたのだろう?」
女はいま一度、唇を噛む。「ーーはい。それもまた、その通りです」
「そして?」
「そして何も、見つかりませんでした。自分が淫乱だ、ということ以外」

ヤバいな。
自分の中で信号が灯る。
深入りすると危ない。
分かっていつつも、返事をしてしまう。

「それが分かれば、上等だ」

私も杯を煽る。
一息に、残りの酒を喉に流した。
そしてクロゼットからネクタイを一本取り出した。
それを、椅子に腰掛ける女の顔に巻きつけ、目隠しをする。

「上着を脱ぎなさい」

私は女の目を見て言った。

「…はい」

女が答える。
そして、夜が更けていった。
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