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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目
自分のなかで、何かが萎えたのが分かった。
私は女の下着から、指を抜いた。
「…」
女は言葉を失った。
私もまた、返す言葉を見失っていた。
心のどこかで誰かを、女と痴態を演じ合う役回りを持った誰かを、私は見失った。
女もまた、途方に暮れていた。
自分があられもない姿でいることに、女は気づいた。
女は両手を股間にやり、ショーツの秘部を隠した。
「部屋の電気を消す。いいな。今日はこれでおしまいだ。私は背を向けているから、その間に服をもって、シャワールームに入りなさい。
熱い湯を浴びて、服を着るといい」
そう言って私は、部屋の電気を消した。
音もない暗闇が、部屋を包み込んだ。
窓の外には、美しい北国の都市の夜景が見えている。
私は女の股間から立ち上がり、窓辺に向かって歩いた。背後に、女の気配を置き去りにしたまま。
やがて、女がベッドから立ち上がる気配がした。