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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目

暗い部屋の中で、女が下着を脱ぐ音がした。

そして、女はこちらに歩いてくると、裸のまま、私の背中を抱いた。

「何をしている?」

女は答えず、ただ、スリムな裸の身体を私に押し付けていた。

「すみません。どうしていいか、分からないんです。あなたに抱いて欲しい。けど、これまで婚外で身体を合わせた誰とも、挿入までしてこなかったんです」
「それは意図してか?」
「そのつもりはなかったんですが、途中からはそうしようと決めていました。私、もう一度主人とSEXがしたいのです」
「こんなことをしながら言う言葉か?」

女は黙る。
下唇を噛んでいるのだろう。

「すみません。私、まだ濡れてます。あなたに…SEXしていただきたいんです」

何を言っているのだろう、と心の何処かが醒める。
あまりに勝手な物言いだ、とふと思った。
求めれば、男が必ず受け入れると考えている前提が気に入らなかった。
不細工さと朴訥さを売り物にして俳優をしている自分自身は、こんな風に女を抱けるだろうか、と思った。
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