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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目
脳裏に東京で付き合っている二人の女のことが浮かんだ。SMではない。二人にもそう言っている。かといって恋人でもない。
他の人では共感することのできない特殊な性癖を共有する、大切なSEXパートナーだ。
その女たちに、強い罪悪感を覚える。
互いに互いの存在は伝えてあり、それでも尚、付き合いが続いている。恋愛対象ではないからこそ、独占欲も生じないのだ。
だが今、その二人が瞬く間に色あせて行くのを、感じた。
私は少し苛立ちを覚えながら同時に、恐れを感じていた。
私は、強く、硬く、勃起していた。
この不条理な女を抱きたい気持ちに、強烈に囚われていた。
だがそれは、私自身の何かをひどく裏切ることなのだと知る。
私と二人の女たちで築いてきた小さな王国が崩壊して行くような。手のひらの中から、二人の淫乱なパートナー達との親密なひと時が、こぼれ去って行くような。
女の手が、私のずぼんを探り、そそり立つペニスのカタチに触れようとしていた。
全く。
ヤバい女に手を出してしまったものだと思った。
ペニスをまさぐられながら、気持ちが皮肉な笑みになって唇に浮かんでいた。
この女に抱かれてきた男達は、その後不幸になったろうな、と、その時思った。