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小田桐菜津子と七つの情事
第7章 最後の情事
ぼくたちはその時、週末だけの小旅行に来ていた。
伊豆のひなびた漁港の網元が経営する小さな旅館。
ふたりで食べきれないほどの刺身の舟盛り。タイ、ヒラメ、ブリにアジ。そして揚げ物のエビ、イカ。名物のキンメの煮付けに、伊勢海老のステーキ。
キリリとしたビールと爽やかな冷酒でふたりしてその絶品料理を堪能した。
そもそもこの小旅行を提案したのはなっちゃんだった。
互いに忙しい仕事をしていて、家でもすれ違いが続き、あまつさえぼくの海外学会出席などのイベントがあり、この秋はすこしものんびり出来なかった。
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小田桐くん、帰国したら久しぶりに、伊豆のあの旅館に泊まりに行こう。
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ボストンのホテルの部屋でLINEしてた時、なっちゃんからそんな誘いがあった。
あたしがアレンジしとくから、と彼女は言った。