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小田桐菜津子と七つの情事
第7章 最後の情事

でも考えてみれば生まれてこの方、ぼくは人の気持ちを推し量ることについて、全くもって自信がなかった。
全てを数式で表現しようとする物理の世界のスケールで考えると、人の世はまるで法則の通じない奇怪な世界だ。
それからするとぼくが圧倒的な世間知らずで、知らぬ間に周囲の女性を悲しませ続けているだけなのかもしれないけど。

でも、それで納得していては話が前に進まない。
ぼくは時間をかけて絵里子さんに事情を説明した。もちろんそんなものは全くの逆効果だったわけだが。

最後はかなり乱暴に連絡を断つことにした。
我が研究所はそんなぼくの我儘により、有能な小間使いさんを失った。
絵里子さんが最後まで、我々の関係を研究所に暴露しなかったのは、彼女なりの優しさなのかそれとも恐ろしい復讐の伏線なのかは今のところ謎のままだ。

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