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小田桐菜津子と七つの情事
第7章 最後の情事
取り立ててテクニックがある訳でもない。
性をむさぼりあったあの彼女との時のように、卑猥な言葉を交わしたりして互いを昂(たか)ぶらせ合うわけでもない。
ぼくたちはただ、よく知っているもの同士の、静かな睦(むつ)み合いを続けた。
なっちゃんは、浴衣のはだけたぼくの胸に頬を寄せた。彼女のほっぺの柔らかさが、胸に染みる。
ぼくは片手で彼女を抱き寄せながら、ショーツの脇から指先の中に指を忍ばせた。
「ぁ……」
小さくなっちゃんが喘(あえ)ぐ。
そこは、もう、熱くトロけていた。
一年半ぶりか。
こうして妻の柔らかい身体に触れるのは。
「なっちゃん……」
穏やかな声が出た。
「すごく…感じてるね」
「うん…」
ぼくの胸に顔を寄せた妻がそう答えた。
「気持ちいい…。すごく」
囁くように彼女が呟いたその言葉に、ぼくの、そして妻の、わだかまっていた何かがゆっくりと溶けていくのを感じた。
ぼくたちは、ずいぶん遠回りをして、やっとここに戻って来られた。
蜜壺のようにぬるむなっちゃんの割れ目をやさしくこすりながら、ぼくは彼女に許されるのを感じた。
そしてまたぼくも、彷徨(さまよ)い続けた彼女を受け入れた。