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小田桐菜津子と七つの情事
第1章 最初の情事
ゆらり、ゆらり。
リズムに乗せて身体の反発を使うと、本来の目的である筋膜の緊張は解けないので、あくまでこちらの腕の入力だけで、彼女の腰を動かしてゆく。
「お好きな果物は?」
「どうしてそんなことを?」
ゆらり、ゆらり。
「おしゃべりしながら、リラックスしていただきたくて」
ゆらり、ゆらり。
「はっさくです」
「珍しいものがお好きなんですね」
ゆらり、ゆらり。
「ほろ苦くて爽やかで…」
はぁぁぁぁ…
うつ伏せになっている彼女が、深いため息をつくのがわかる。
腰を中心として、ゆっくりと身体をほぐしてゆく。こうして背中を揺するだけで、筋膜の動きを感じる。
オフィスワークを中心とした仕事をする人に共通の、うなじから肩にかけての凝り。その塊が身体の芯を伝って、ふくらはぎと足首に負担をかけている。