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運命の恋人
第2章 昌希
どちらにしろ、軽はずみな事は言えない。

オトナの事情はひとつじゃない…って、いつだったか父さんが言ってたっけ。
小谷さんは、自分の進路について、お父さんとお母さんと話し合いの場を設けてないんじゃないだろうか。
想像だけど、頭に血が上って家を飛び出しちゃうような状態なら、そんな時間もなかったのかもしれない。
ただひとつ言えることは、小谷さんの生きる道を、お母さんが決めるのは違う、ということだ。
それは、逆も同じだけど。小谷さんにも、お母さんの生き方を否定する権利はない。

「差し出がましいようだけど、小谷さんは東京の大学に行きたいって事を、ご両親にきちんと話してるの?」

「高校に入る時から、志望校は決めてた。だけど、お母さんはこっちに来る時はとても話し合いができる状態じゃなかったし、お母さんは志望校なんて環境が変われば変えられるだろうくらいにしか思ってないんだと思う。だから、それでケンカもした。お母さんは私がこのままK大に進むと思ってたみたい。外部受験でも、ここから通える大学なんていくらでもあるって言われて。」
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