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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第2章 重荷
春休みに入り、無事凪の引っ越しも終わった
「いいなーいいなー」
陽菜乃は毎日のように覗きに来ては、だらだらと過ごして帰る
だが
「今日は駄目だ」
今から行くよと連絡した妹を凪は断った
「えー、なんでー?」
「……用事だ」
電話の向こうで陽菜乃はにやりと笑った
「美和ちゃんとデート?」
「……」
黙っているということはそういうことだ
「お部屋に呼ぶの〜?」
「ばっ……今日は外で買い物だっ」
「でもその後呼ぶんでしょ?」
「……っ」
電話越しでも兄の赤くなった顔が見える
「お前こそ、斎藤とはどうなんだ」
凪は返り討ちを誘うように話題を変えたが、
「え? 別に普通だよ?」
という答えに何も言えなかった
「じゃ、デート楽しんでねー!」
ガチャ
「ハァ…」
ヴヴヴ!
一息ついた矢先、再び着信を告げる携帯
画面には“美和”の文字
「どうし……」
「ちょっと凪!? 今どこ!?」
いきなり大声で怒鳴られ、凪は携帯を耳から離した
「どこって……家だよ」
「なんでまだ家なのよ!」