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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第2章 重荷
時計を見れば、まだ十一時半前
「十二時に駅だろ?」
「十一時だって言ったじゃん!」
えっ、と凪は息を詰める
「昨日十一時にってそっちが言いました!」
「そう……だったか?」
決めたのが夜中近かったせいであまり記憶にない
「とにかく急いで!」
彼女の声に急かされ凪は超特急で支度した
だが結局着いたのは十二時少し前
当たり前のように早めに来ていた美和は一時間以上待たされたことになり、昼食の間もずっと説教だった
「だいたい約束とかにルーズ過ぎ。もう大学生になってしかも一人暮らしとかとてもじゃないけど……」
まるで母親を連れて歩いている気分だ
「あー、わかったわかった」
いい加減にしてくれと美和を振り払って前に出る凪だが、このショッピングモールのことを何も知らない
彼女が何を欲しがっているのかも分からないから、途中で足を止めざるを得ない
行っては止まる、振り返る
その行為が余計に美和を苛立たせた
「凪のばか」
もうそれ以上文句の言い様がなくなり無意識に放ったその言葉が不覚にも凪の胸を突いた