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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
去ってゆく彼の背中を龍青は悔しそうに睨み付ける
だがこの時の凪の行動は、思わぬ形で彼自身に返ってきたのだった
「おい和泉ぃ」
翌日の昼休み、三年生数人が凪のクラスを訪れた
野球部の中でも特に厳しく手が早いことで知られる先輩だ
「はい」
「てめえ昨日谷田の練習邪魔しただろ」
「あまりにも辛そうだったんで止めさせただけです」
ガッ
教室のあちこちから悲鳴が上がる
先輩の一人がいきなり凪を殴ったのだ
「何の権限があって先輩の指示破ってくれてんだあぁ!? 何様のつもりだよ!」
胸ぐらを掴んで持ち上げる
「チッ……無意味な練習させられてもな……」
いい加減イラッときた凪がぼそりとそんなことを呟いた
「それが先輩に対する態度かぁ!?」
そのまま突き飛ばされる凪
ドサッ
「……ッ」
「まずは礼儀ってもんを叩き込んでやる」
その周りを取り囲み、集団で暴行を加える
普段から生意気でそのくせ優秀な後輩に苛立っていたのだ
その怒りに任せてリンチする光景に他の者は恐くて何も言えなかった
「……ケホッ」