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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
夕陽に照らされたグラウンドに龍青の声が響く
「ま、待って…一旦水を……」
谷田の今にも倒れそうな様子に凪は慌てて駆け寄った
「おい、やりすぎだろ」
肩を貸しながら龍青を睨み付ける
「先輩に言われたんだ。百本ノック。溢したら最初からだ」
「練習後にそんな出来るわけないだろ!」
「出来ない奴はこの部にはいらないって。和泉なら出来るだろう?」
凪は谷田に先に戻るよう指示し、龍青と向かい合った
「人間それぞれ得意不得意あるだろ」
「最低限出来なきゃいけないこともある。忘れたのか? この前の試合、谷田の守備のせいで大量失点したこと」
頑ななその態度に凪は溜め息をついて若干馬鹿にしたように相手を見下ろした
「お前は川本以上に融通効かないな。ただ何も考えずに人の命令守ってるだけのくせに」
龍青の頭にカッと血が上る
「全員がお前みたいに何でも出来るわけじゃないんだよ! 人の言うこと聞いて真面目に努力して、それの何が悪いんだ!」
「……」
その様子をじっと見つめーーー凪は龍青に背を向けた
「おい!」
「今お前と話しても時間の無駄だ。谷田見てくる」